(11) 哲学専従者のための「数学史」 「論理学史」
「Mathematical Thought」の著者、E・W・ベートは、その序論に、次のようなことを記している。
・・・・・・・・・「古代から、数学は、哲学者の注意をひきつけてきた。いかなる古典哲学も、人間精神の活動性のこの分野との関係を考えない限りは、完全なものとは見做されなかった」。
例えば、オクスフォード大学の数学科は、二つに分かれている。一つは純粋に数学だけを学ぶ学科、もう一つは哲学も併せて学ぶ学科の二つである。つまり、数学者は必ずしも哲学の勉強を必要とはしない。しかし、E・W・ベート教授の言葉のように、今日、哲学者は数学の学習を必要とする、ということが、オクスフォード大学の例でも読み取れる。
二番目の回答者さんが記されたように、ゲーデルの世界は「数学から超数学へ」の、いわば証明の世界です。「Gödel's Proof」への挑戦は、将来のこととして、まずは歴史に親しみましょう。
(1)「解析学の歴史」U・ボタチーニ著、(現代数学社出版)
副タイトルは、「オイラーからワイアストラスへ」。特に第3章「厳密性への新しい傾向」に、アーベル、コーシー、デデキントなどの優れた数学者の偉業が記述されている。興味深いのは、この章に、ベルンハルト・ボルツァーノ(Bernhardt Bolzano)の詳述があることです。「ボルツァーノ=ワイアストラスの定理」で有名な、この数学者は、哲学者としても高名であり、後世のフッサールがボルツァーノから多大の影響を受けたことを語っている。19世紀後半から20世紀にかけて飛躍的な進歩を見せた論理学は、中世を境として、この現代までの約300年を停滞のうちに放棄されていた。今日の論理学(数理論理学)への継承となるべき命題論理学への道筋は、このボルツァーノによって維持されていました。
(2)「The Development of Logic」W・Kneale&M・Kneale著、(Oxford Press出版)
哲学専従者として、「哲学史」、「数学史」とともに、「論理学史」は必修科目だと僕は思っています。日本の学生は、こうした専門的分野での歴史について、疎いばかりでなく、一般的な世界史そのものについてさえ、きちんとした学習がなされていません。
ここに紹介した「論理学史」の書籍は、恐らく翻訳は出版されていないと思います。
しかし、外国語による学習において、専門用語の世界(つまり専門図書のこと)は、学生たちにとっては読解しやすい世界だと思います。約770ページに及ぶ大冊。例えば、中世論理学では、アベラールの業績、また、大学草創期における論理学の展開。ルネサンス期の論理学では、ライプニッツ、ボルツァーノの詳述があり、しかもフレーゲ以降も、僅かな漏れもなく行き渡った論述があります。
この論理学の歴史についても、日本の学生は十分な授業を受けているとは言えないでしょう。
毎日少しづつでも読んでみてくさい。非常に興味深い書籍です。
(補足)
↓twesgiさんのお薦め「論理学史」(山下正男著・岩波全書)は、実にいい本ですね。特に中世終了時、近世から現代にかけての歴史的な欠落を見事に説明補正しています。
- 編集日時:2012/5/9 01:58:23
- 回答日時:2012/5/7 00:24:21
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