(10) ブレーズ・パスカル と ジュリアン・グリーン
ジュリアン・グリーンの数多い小説作品の中に、比較的短い中篇小説「L'Autre Sommeil(もう一つの眠り)」があります。この作品のタイトルは、パスカルの著作からとっており、また作者は、この小説のエピグラフとして、「Pensées(パンセ)No.434」の一節を引用しています。
質問で書かれている「現実、そして夢」が、パンセでは「目覚めている時、そして眠っている時」として語られています。
Blaise Pascalの著作として、多くの数学論文、物理学論文、エッセイなどがありますが、この「パンセ」は異色の哲学的著作といえるでしょう。だが、二行、三行という短文の多い、アフォリズムの集積で成り立つ「パンセ」の中で、このNo.434は、100行以上に及ぶ長い文脈で綴られています。
J・グリーンが小説のエピグラフとして用いた、パスカルの文章は、次のものです。
・・・・・・・・・我々が目覚めていると思っている人生の他の半分も、最初の眠りといささか異なった、もう一つの眠りではないだろうか? そして、我々が眠っていると思う時、我々は、このもう一つの眠りから目覚めているのではなかろうか?
Julien Greenは、20代から数多い作品を発表しているが、この「L'Autre Sommeil(もう一つの眠り)」は、31才のときの作品です。彼が現代フランス文学史に残した業績は、今でも光を放っています。
例えば、「Le Visionnaire(幻を追う人)」、「Minuit(真夜中)」、「Varouna(ヴァルーナ)」などの優れた小説作品のほか、自伝的エッセイ「Partir avant le jour(夜明け前の出発)」、そして、イギリス作家論「Suite Anglaise(イギリス組曲)」などがあります。
上記の、パスカルの「パンセNo434」の思索に満ちた文章、また、J・グリーンの作品も、質問者さん、あなたの興味を誘うだろうと想像します。読む人の想念に拡がりを添え、思惟の奥行きを確かめさせてくれるに違いない、と僕は思います。
- 編集日時:2012/4/23 01:02:14
- 回答日時:2012/4/20 03:41:28
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